「内装も綺麗だし、厨房機器も全部揃っている!」
「これなら、スケルトンから作る半分の予算で開業できるぞ!」
物件探しをしている社長が、条件の良い「居抜き物件」に出会った時の興奮。
まるで宝くじに当たったような気分になるものです。
それとも「地雷原」でしょうか?
本当に怖いのは、初期費用ではなく「入居後のランニングコスト(修繕費)」です。
前のオーナーがなぜその店を手放したのか。その厨房機器は、あと何年動くのか。
ここを確認せずに契約するのは、「整備記録も見ずに中古車を買う」のと同じです。
今回は、安く開業したつもりが修繕費地獄に陥る失敗パターンと、物件選びで見るべき「本当のチェックポイント」について解説します。
1. 「初期投資」が安くても、「総投資」は変わらない?
居抜き物件で浮いた数百万は、本当に「得したお金」なのでしょうか?
実は、それは「支払いを先延ばしにしただけ」である可能性が高いです。
新品の機器は5〜10年動きますが、居抜き物件にある10年落ちの冷蔵庫は、明日壊れてもおかしくありません。
これは資産ではなく、「いつか処分費がかかるゴミ(負債)」かもしれません。
オープンして半年、資金がカツカツの時に冷蔵庫が壊れて80万円飛んでいく…。
これが黒字倒産の典型パターンです。
2. 素人は「壁紙」を見て、プロは「型番」を見る
内見に行った際、社長はどこを見ていますか?
「おしゃれなカウンター」「個室の広さ」。これらは全て「内装(表面)」の話です。
壁紙、照明、カウンターの傷など、
見た目の綺麗さを気にする。
厨房にしゃがみ込み、
機器の製造年シールを確認する。
「あと何年動くか」を値踏みする。
内装なんて、壁紙を張り替えれば済みます。
しかし、店の心臓部である「厨房機器」が止まれば、営業停止です。
3. 絶対にチェックすべき「3つの時限爆弾」
故障すると致命傷になる「3つの設備」。
契約前に、これらだけは必ず動作確認と年式チェックを行ってください。
壊れると、新品購入費+食材廃棄ロス+営業停止のトリプルパンチです。
前のオーナーが清掃をサボっていると、油が固まり、オープン初日に汚水が逆流します。
焼肉や中華の場合、ダクト内が油まみれだと火災の原因にもなります。
4. 「造作譲渡料」は交渉できる
居抜き物件には「設備一式 200万円で買ってください」という造作譲渡料があります。
しかし、機器がボロボロなら、それは「産業廃棄物の処分代行」です。
入れ替えに100万円かかるので、譲渡料を100万円減額してください。」
ただ「安くして」と言うより、遥かに説得力があります。
5. 結論:居抜きは「化粧」ではなく「内臓」を見ろ
居抜き物件は、うまく活用すれば最強のコスト削減ツールになります。
重要なのは、表面の「化粧(内装)」に惑わされず、体の「内臓(機器)」の健康状態を見極めることです。
「わぁ、綺麗な店!」と感動したら負けです。
「ふむ、この冷蔵庫は2010年製か…」と冷静になれるのが勝てる経営者です。
開業資金の「予備費」、足りてますか?
「この物件、本当に契約して大丈夫かな?」
「もし機器が壊れても、資金ショートしないかな?」
もし不安があれば、当事務所にご相談ください。
税理士の視点で、「修繕リスク」を織り込んだ資金繰りシミュレーションを行い、
銀行から十分な予備費を引き出すサポートをいたします。


