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はじめに
現行の日本の所得税は、超過累進税率を採用していますが、
超過累進税率と言われてもよく分からない人が多いと思います。
以下、国税庁HPに説明文がありますので、引用します。
所得税の税率は、分離課税に対するものなどを除くと、
5%から45%の7段階に区分されています。課税される所得金額(千円未満の端数金額を切り捨てた後の金額です。)
に対する所得税の金額は、次の速算表を使用すると簡単に求められます。
(平成27年分以降)
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
(注) 例えば「課税される所得金額」が700万円の場合には、求める税額は次のようになります。
700万円×0.23-63万6千円=97万4千円
このように、所得税では所得金額により7段階に税率が分けられていて、
担税力(税金を負担する能力)に応じて税金の負担が生じるようになっています。
日本国憲法第14条には法の下の平等(平等原則)が規定されており、
この平等原則という考え方を税金の計算に持ち込むことで、
超過累進税率が採用されているわけです。
超過累進税率は、一定の金額を超過した部分に高い税率で税金を課しますので、
所得が高い人も低い人も平等に税金の負担が生じることになり、
平等原則(応能負担原則⇒能力に応じた税負担)に沿った考え方です。
伝えるべきは負担感
個人確定申告の報告をする際、申告内容の説明や税額をお伝えしますが、
その時に上記税率表をお見せすると、例えば所得が1,800万円であった場合、
「税金が所得の40%も取られる」と思われる方が多いです。
それは、所得1,800万円超~4,000万円以下に適用される税率なので、
実際の負担割合ではありません。
そういった場合は単純に、税額➗所得(又は収入)で所得税の負担割合を伝えています。
そうすると、平均的な税率が出ますので、実際の負担感はまだ伝わりやすいです。
専門用語
所得と言われても一般の人からするとわからないものです。
感覚的には所得金額よりも収入金額の方が分かりやすいので、
所得の話をするよりも、収入の話をした方が、理解してもらいやすい気がします。
税理士事務所の仕事は、人と話すよりも考えたり作業したりする時間が長く(私は)、
専門用語を目にする機会も必然的に多くなってきますので、
専門用語を専門用語と思わない様になりがちです。
お客さんにはできるだけ、税金の話は難しいという意識を持ってほしくないですから、
専門用語を多用しない様に気を付けたいところです。
おわりに
業界人同士が話をする際には、専門用語を使った方が話がスムーズにいきますが、
一歩外に出ればその言葉は伝わりません。
伝えたいことは何であるかを意識して、
イメージしやすい言葉のチョイスが必要だと思います。