税理士試験(税法)免除大学院の入試対策とその感想

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はじめに

税理士試験は科目合格性となっており、5科目合格することで税理士の資格を取得できます。しかし、5科目そろえるには、平均して約10年かかるということもあり、近年は、税理士試験の科目免除制度に注目が集まってきています。

 

科目免除の方法の一つして大学院での免除があり、大学院で必要単位を取得後、論文を国税庁へ提出し、同庁の認定を受けることで、税法科目2科目の免除を受けることが出来ます。

 

ただ、免除が受けられる大学院の情報は、ネットを通じて探してみてもなかなか見つからず、私自身が苦労したということから、これから大学院入試を考えている方が知っておくべきことについて、書いていきたいと思います。

出願資格

①いわゆる4年制大学を卒業している又は卒業見込み

②文部科学大臣が指定した者

③本大学院研究科において、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者

 

となっており、大学院側に認めてもらえれば学歴は関係ありません。

私の周りで、「4年制大学を卒業しないから大学院は受験できない」と、勘違いされていた方もいました。

 

学歴を問わない大学院もあります。思い込みで諦める前に、色々調べてみることが重要です。

 

入試の類型

入試は、4月入学と9月入学の年2回あり、一般入試と社会人入試があります。

一般入試

社会人経験がない場合

研究計画書(事前提出)+ 筆記試験(税法)+ 筆記試験(外国語)

 

社会人入試

社会人経験が1年以上ある場合

研究計画書(事前提出) + 筆記試験(税法) + 口述試験

 

また、研究論文を事前に提出して試験当日に口述試験だけ受けるという方法が取れる大学院もあります。私は、社会人経験があり、外国語がからっきしダメなので、社会人入試で挑みました。

 

ここで、研究計画書とは?

と思った方もいると思いますので、以下詳細について述べていきます。

入試の内容

研究計画書

研究計画書とは、自分が大学院で研究したいことをまとめたものです。

①興味を持ったきっかけ

②研究して何を明らかにしたいのか

③研究題材の概要 + 判例等 + 私見等

④研究のスケジュール(1年目、2年目)

私はこんな感じでまとめました。

 

私の場合は、実務経験の中で疑問に思ったこと、問題があると思ったことを研究テーマに挙げ、これが論文として議論する余地はあるのか(論文として成立するのか)を考え、また過去に同じようなテーマで書かれた論文があるかを調べました。書かれていれば論文として成立するということなので、テーマ設定としては間違えていないということです。

 

筆記試験

筆記試験といっても、税法六法は持ち込んでもよかったので、税理士試験の様に、事前暗記等の必要はありません。

 

ただ、何もしないで本番に挑むのは無謀ですし、過去問等が各大学院のHPにありますので、数年分は見て解いておいた方がいいと思います。

 

また、基本的な考え方を学ぶため、古い版のものでもいいので、重要判例がまとめられた「租税判例百選」を手に入れて、判例をいくつか読んで理解しておくこと。

 

 

それと、専門用語が多用されてはいますが、税法を体系的に知るためにこちらもおススメです。

 

口述試験

私は、これが一番緊張しました。

聞かれることは、研究計画書の内容と、筆記試験の答案についてです。

 

研究計画書については、かなり突っ込んで質問されますので、自分の考えをまとめおいたほうがいいでしょう。そして、何を聞かれても必ず同じ方向性を示した返答をすることが重要です。

 

例えば、「Aについてどう思いますか?」ときかれたとき、「まだ調べていません」と答えるのではなくて、「Aについては、まだ調べていませんが、今後調べて書いていく予定です。」と答えたほうが無難でしょう。

 

とにかく、やる気と、自分は考えている・検討しているという意思表示が重要です。

 

筆記試験については、私は2問中1問の回答が間違っていましが、口述試験の場でもう一度考えるチャンスを頂くことができましたので、半分くらい先生方に誘導はされましたが、なんとか正しい方向の答えを述べることができました。(優しい先生でよかった)

 

おわりに

税理士試験の科目免除を受けるために、大学院に行くかどうか悩んでいる方は多いと思います。

 

税理士試験を3科目合格すれば、あと1~2年で税理士資格を取得できるかもしれないですし、そうすると、試験のほうが金銭的にも負担が少なくなります。

 

私は現時点では、大学院を選択してよかったと感じています

 

入学前(大学院について調べる前)は、もっと免除を受けるだけのために来ている人が多くいて、論文を書くための手法を学んだりする様な講義が多いのかなと思っていました。

 

大学院によるとは思いますが、実際は、学びのない形式的な講義はないですし、講義は少人数のディスカッション形式で進んでいきますので、法律について考える機会があり、ものごとをより深く考える癖がついてきます。

ですので、学んだことが実務で役立つことも多いと感じています。

どちらの道に進むのがいいのかは、考え方や置かれた環境により違いますし、人によって違います。

 

試験の時間的、金銭的なメリットを、大学院で得られるメリットが少しでも上回るかもしれないと感じた方は、一度検討されてみてもいいのではないかと思います。

 

税理士の資格取得されてから入学される方もおられますし、年齢も40代・50代の人も珍しくありません。

やろうと思えばいつでも挑戦でき、遅すぎるといったことはないです。

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