映画「三度目の殺人」を見て。
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はじめに

私が子供の頃、叔父がビデオ販売店で働いていたので、
数多くの映画のVHSが家にあり、映画を見る習慣が子供の頃からありました。

 

映画と言ってもアニメや子供向けのものではなく、
例えば「マルサの女」を5・6歳の頃に見ましたが、
今でもわくわくどきどきして見ていたことを何となく覚えています。
(子供にわかる映画ではないので、意味は理解していなかったでしょうが)

 

今思えば、子供が見て楽しいような映画ではないのですが、
ちょっと変わっていたのでしょう。

 

その後、大学生の頃は暇さえあれば映画を見ていましたし、
一日中部屋にこもって見ていることもありました。
多いときで連続で映画5本くらい見たりしていました。
(暇な学生でした)

 

ただ、子供の頃から映画が好きだったことが影響してかどうかは分かりませんが、
今でも映画は好きで、amazon primeで定期的に映画をチェックしますし、
テレビで放送されていれば家族で見ることもあります。

 

また、最近はそれほど行けませんが、映画館の雰囲気もすごく好きで、
チャンスがあれば映画館に行きますし、子供と一緒にアニメ映画を
見に行ったりもしています。(プリキュアとか笑)

 

先日、テレビで「三度目の殺人」が放送されていまして、
非常に面白かったので、簡単に感想等を述べたいと思います。

 

三度目の殺人/是枝監督

あらすじ

勝つことを第一目標に掲げる弁護士の重盛(福山雅治)は、
殺人の前科がある三隅(役所広司)の弁護を渋々引き受ける。

クビになった工場の社長を手にかけ、
さらに死体に火を付けた容疑で起訴され犯行も自供しており、
ほぼ死刑が確定しているような裁判だった。

しかし、三隅と顔を合わせるうちに重盛の考えは変化していく。
三隅の犯行動機への疑念を一つ一つひもとく重盛だったが……。

Yahoo!Japan映画より

ここからネタバレです。

 

この映画はサスペンスなんですが、誰が犯人かということは二の次で、
真実が分からなくても判決まで進んでいく、日本の司法システムの
おかしさを書いた作品です。(ある理由から最後に犯人性も争われます)

 

弁護士の重森は、弁護士の仕事として割り切って、結果を出すことにこだわろうとしますが、
徐々に犯人の三隅の言うことに翻弄され、関係が上手くいっていない自分の子供を思う気持ちと
重ね合わせてしまったのでしょう。

 

そんな背景があってか、子供のことを信じるように三隅のことも信じようと思います。
そして、三隅から「本当は犯人ではないと」告白を受けた後、事務所での打ち合わせの中で、
重森は「本人が主張しているのであれば、弁護士はそれに沿うべきなんじゃないのか?」
と述べています。

 

全くその通りなんですが、結果、「犯人性」については、覆ることはなく、
死刑の判決が下ることになります。

 

映画の中では、この三隅の主張の裏には、別の思惑があるとにおわせる様な
展開になっていくのですが、真実はわかりません。

 

おわりに(感想)

この映画は、日本の「司法のシステム」は事件の真実よりも、
裁判にかかわる多くの人の状況が優先され、予定通りに終わらせることを
優先した、形式的なものになっているということに疑問を呈しています。

 

最後まで真実は語られずに終わってしまいますので、
映画を見ている人からすると、結局、真実は何だったのか?
ともやもやした気持ちになる映画でした。

 

この映画を見て思ったのは、自分が弁護士の立場だったらどうするだろうと。

 

真実を追求することを優先するのか、依頼者の減刑を優先するのか。

 

一つの事件だけにずっと関わってやっていくのであれば、
理想としては前者、しかし時間のない中で最善策と考えると、
後者の方を取らないと仕方がないのかなと思います。

 

プロとして現状の司法システムがわかっているからこそ、
依頼者の利益のためにそうするしかないということもありますので、
自分の気持ちにどう折り合いをつけるか、難しい問題です。

 

「三度目の殺人」は前から気になっていた映画の一つで、
テレビ放映の機会にやっとみれました。
さすが日本アカデミー賞6冠だけあって、すべてにおいてハイクオリティで、
考えさせられる非常にいい映画でした。

 

 

 

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