この記事の目次
はじめに
税法条文は非常に読みにくいので、条文を読まずに通達のみから取り扱いの理解を図る人もいます。
厳密にいえば、通達は国税庁長官から部下への上意下達の命令規定ですから、国税職員へは絶対的な拘束力を発揮しますが、納税者に対しては直接的な拘束力はないので、本来なら通達ではなく条文を知る必要があります。
といっても条文は非常に読みにくいので、なかなかとっつきにくいですが、通達のみに頼ることはできないので、条文を読む練習は常にしておかないといけないなと思います。
税法の位置づけ
日本国憲法29条において、国民には財産権の保障がされており、これを侵してはならないとされています。
学説はいろいろありますが、この条文に正面から向き合うと、税金の賦課徴収は財産権の侵害に当たり、憲法29条に反していると言うことが出来るので、税金の賦課徴収を規定している税法は、例外的な位置づけになると考えられます。
そのため、特に税法条文は誰が読んでも同じ理解となる様、複雑に読みにくく書かれていますし、読み手も勝手な解釈をしない様に気を付けて読まなければいけません。
これは、どの条文を読むときも同じかと思いますが、まず文理解釈することを心掛け、それで理解や解釈に疑問が生じる場合は、他の解釈方法に進むのが通常の流れかなと思います。
※解釈方法はいろいろありますが、この記事では文理解釈と目的論的解釈について述べていきます。
文理解釈とは
法律の言葉,文章の意味を,文法の規則および通常の言葉の用法から確定する解釈方法。文法解釈と文字解釈とに分けていう場合もある。実定法が成文化されているかぎり文理解釈は法解釈の出発点である。同一の条文について複数の文理解釈が成立する場合には,論理解釈,目的論的解釈などを用いることとなる。
上記引用した様に、文理解釈とは条文に書かれた内容を通常の言葉の用法から意味や内容を読み取る方法で、条文を読むときは、まずこの方法で内容を理解していきます。
ただ、「通常の言葉の用法」でその意味内容を確定していきますので、その通常の言葉の用法が分からない時は、広辞苑や国語辞典等を用いて内容を確認する必要があります。
特に論文を書くときは、言葉の正確性を求められますので、辞書を引く癖は付けておいた方がいいかなと。
また、私はファルクラムの動画で知ったんですが、辞書に書かれている内容は出版社によって結構違っているそうです。
より正確に言葉の意味を確定するなら、その内容を見比べて意味を確定する必要がありますが、そこまで考えて調べたことはありません。
目的論的解釈とは
法解釈の方法の一つで,ある法規について複数の文理解釈が成立しうる場合に,その法規の目的に最も適合した解釈を選択すること。論理解釈と対照的な性格をもち,合目的性の判断をするうえで,しばしば社会学的な知識が要求される。
目的論的解釈とは、言葉の通りその条文の目的から意味内容を確定するヒントを探していく方法で、直接的に条文を読むだけでなく、その条文の周辺条文や通達、改正経緯などからその理解を深めていきます。
先に述べた様に、税法は例外的な位置づけになりますので、その解釈は慎重にしないといけません。
なので、あくまでも文理解釈が基本とはなりますが、目的論的解釈も進めていくことで、その条文を知る手助けになるとは思います。
論文を書くときは、条文に問題があることが前提となることが多いですから、自然とその改正経緯や周辺条文等は調べることにはなります。
おわりに
条文を読むときは、気持ちを切り替えて本腰を入れて読まないと理解することは難しいです。
条文だけでその意味内容が確定できるものであっても、その背景や改正経緯を追うことで条文に対する理解は深まりますので、あえて目的論的解釈アプローチをすることもあります。
ただ、時間のかかる作業なので、なかなかそこまでやろうとは思えませんが、一度深く調べておいたら、いろんなところで活きてくるだろうとは思います。