大手税理士試験予備校のアドバンテージについて考える。
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この記事の目次

はじめに

税理士試験の受験予備校大手の大原やTACでは、通常クラスで模試の成績が上位20%~30%であれば、本試験の合格ラインに乗る、ということをよく聞きました。

 

私も先生にそう言われましたし、常に上位30%以上を目標に勉強をしていました。当時は特に疑問も持たずに「そうなんや。頑張ろう。」と素直に受け取っていましたが、H30年税理士試験の科目別の合格率平均が12.8%であることから考えると、合格率20%~30%はすごいなと。

 

そこで、今回は大手受験予備校で言われている上位20%~30%について考えてみたいと思います。

 

前提

まず、前提として平成30年の実績を使っていきます。

平成30年の税理士試験の受験者数は42,063人。科目合格者は5,382人。合格率平均は12.8%。そして、5科目合格者は672人(科目合格者5,382人に含む)

 

次に、大手受験予備校がホームページ等で掲げている、5科目合格占有率は、大原が60.1%(404人/672人)。TACが37%(249人/672人)。

 

上記でも述べた様に、大手の受験予備校では、予備校内の模試で上位20%~30%が合格圏内であると言われていますので、こちらの割合も使います。国税庁が公表している試験結果以外は、正確な数字であるかはわかりませんが、今回はこれらを基に検討していきます。

 

受験校別の受験者数・合格者数・合格率

大手の受験予備校が出している5科目合格占有率と、科目合格者数の割合が同じであると仮定し、科目合格者の人数を算出した上で、そこから各予備校の受験者数を算出しました。その他は差し引きで算出。

 

①大手予備校の上位20%を合格とした場合

受験者数 科目合格者数 合格率 5科目合格占有率
大原 16,170 3,234 20% 60.10%
TAC 9,955 1,991 20% 37%
その他 15,938 157 0.98% 2.90%
全体 42,063 5,382 12.80% 100%

 

②大手予備校の上位30%を合格とした場合

30% 受験者数 科目合格者数 合格率 5科目合格占有率
大原 10,780 3,234 30% 60.10%
TAC 6,636 1,991 30% 37%
その他 24,647 157 0.64% 2.90%
全体 42,063 5,382 12.80% 100%

 

結果、「その他」の合格者数が157人、合格率が1%を切る結果となりました。少し偏りを感じます。恐らく、合格占有率に集計されている人数が大原とTACで被っているので、正確性には欠けるのかなと。

 

合格占有率は、「大原」や「TAC」で授業を半分以上受けた人を対象に集計しているそうなので、見方によっては「その他」は大手で受講したことがない人の合格率といえるかもしれません。ただ、大手に行けば合格率が20%~30%になるのではなく、大手のカリキュラムをきちんとこなし、合格に必要な勉強ができた人の中での話なので、それはそれで競争が激しいです。

 

いずれにしても、属性により合格率は変わるのものではありませんので、大手予備校は可能性が高まるというくらいに考えておくのがいいかと思います。

 

大手のアドバンテージ

税理士試験は採点する側の基準が分かりませんから、できるだけ正確に採点してもらえるような配慮も必要です。

 

数字や文字を読めるように書くのは大前提として、採点する側の立場に立って考えてみると、数千人の採点をしないといけなくて、採点期間が限られているので、答案の書き方は統一してほしいという思いがあるはずです。私が日商簿記検定の採点をしている時はそう思っていました。

 

答えが合っていたとしても、多くの人と違う書き方をしていれば、流れ作業的にバツを付けられる可能性があります。採点者は最初、模範解答を見ながら採点すると思いますが、何度も模範解答を見ていると答えを自然と覚えて、いつのまにか頭の中に入った模範解答と答案を見比べて採点してしまいますので、採点の途中で違う書き方の答案が出てくれば、勢いでバツにされることもあるかもしれません。

 

そう考えると、多くの人と書き方が同じである方が安心なので、大手の予備校で受講して多くの人と同じ書き方をマスターすることがアドバンテージになるんではないでしょうか。

 

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おわりに

今回使った数字や割合の中で客観的に見て正確なのは、国税庁が公表しているものだけです。そういう意味では、今回出した数字や割合は、あくまで可能性の話なので、参考に留めておいてください。

 

大手予備校に行けば、合格の可能性が高まるかもしれません。ただ、数字や割合は間違った見方をすると失敗しますので注意が必要です。上記でも検討したように、大手予備校に行っていれば合格率が20%~30%くらいあるように見えるかもしれませんが、あくまでも合格率平均は12.8%です。

 

答案を人間が採点している以上、少しは運の要素があるとは思いますので、ほんのちょっとでも合格可能性が高まるのであれば、選択可能なことは選択しておきたいところです。

 

 

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