税理士試験5科目免除。ダブルドクターはありえるのか。
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この記事の目次

はじめに

大学院には、修士課程と博士課程というものがあり、一般的に修士課程と博士課程の両方を設定している大学院では、修士課程のことを博士課程前期と言い、博士課程のことを博士課程後期と言ったりします。

 

今回は、税理士試験の科目免除に係る、いわゆるダブルマスターとダブルドクターの制度について考えてみたいと思います。

 

ダブルマスターについて

税理士試験の科目免除について、免除のためのカリキュラムが設定された大学院の修士課程を修了して、国税に論文の認定を受ければ、税理士試験の一部科目免除を受けることができます。

 

そして平成14年までは、これを×2回すれば、税理士試験に1科目も合格せずとも税理士資格を取得することができました(税法科目3科目、会計科目2科目免除)。一般的にはこれをダブルマスターと呼んでいます。(修士のことを英語ではマスターといいます)

 

その後、平成14年に税理士試験の科目免除の制度が変わり、修士課程を×2回修了しても最高で3科目(税法2科目+会計1科目)の免除しか受けられなくなりました。

 

ダブルドクターについて

しかし、修士課程修了後にさらに深く研究の世界に入っていくことも可能で、その場合は博士課程に進んでいくこととなります。そして博士課程の場合、修士課程と同じように国税に論文の認定を受ければ、税法論文の場合は税法科目3科目の免除を受けることができ、会計論文の場合は会計科目2科目の免除を受けることができます。

 

つまり博士課程を×2回修了すれば、現行制度においても税理士試験に1科目も合格せずとも税理士資格を取得することが可能となるわけです。これをダブルドクターと言うこととします。(博士のことは英語でドクターといいます)

 

理論上このようなことが可能なんですが、ただ現実にそんな人がいるのかは疑問です。純粋に研究をしたいという人であればいくら時間がかかっても問題ないんでしょうが、資格取得のためだけにそこまで時間とお金をかけるのは正直微妙かなぁと思います。

 

ドクターによる免除について、国税庁HPには以下のように記載されていました。

問18  平成14年4月1日以後に大学院の博士課程に進学したが、博士の学位による試験免除制度の概要を教えてほしい。

(答) 税理士法改正後の博士の学位による試験免除制度は次のとおりです。

  1. (1) 税法に属する科目等に関する研究により博士の学位を授与された者は、国税審議会に免除申請を行うことにより、税法に属する科目3科目の試験が免除されます。
  2. (2) 会計学に属する科目等に関する研究により博士の学位を授与された者は、国税審議会に免除申請を行うことにより、会計学に属する科目2科目の試験が免除されます。
  3. (3) (1)及び(2)の免除申請手続は、税理士法改正前の試験科目免除制度と同様です。免除申請のための手数料はかかりません(詳細についてはこちらを参照してください。)。

国税庁HPより

時間とお金

また、税理士試験を受ける場合と比べて、時間とお金はどれくらい必要なのかが気になるところです。

 

修士課程(博士課程前期)が2年 + 博士課程(博士課程後期)が3年×2回 = 8年。最短でも8年もの時間を要しますし、ただすんなりと博士号を2回も取得できるとは思いません・・・。

 

また、お金も結構かかります。まず修士課程の2年間でだいたい150万~200万くらい必要で、博士課程は3年なので学費も修士の1.5倍必要であると考えると、225万~300万×2回=450万~600万となりますので、8年で合計は600万~800万

 

最短で8年間の時間を要して、600万~800万の学費が必要となると、コストパフォーマンス的には悪そうです。税理士試験の平均合格年数が約10年と言われており、ダブルドクターの方が短い期間で資格取得はできるかもしれませんが、博士号を取るのは非常に厳しいと聞きますし、それを2回もとなると非現実的ではないでしょうか。

 

 

おわりに

以上のことから、ダブルドクターはコストパフォーマンスが悪そうです。

純粋に研究したいのであれば、博士課程に進むべきだと思いますが、税理士資格取得のために博士課程に進むというのはオススメできません。自分が試験に向いているか、大学院に向いているかというこよも考慮する必要がありますが、個人的には、確実性を求めるのであれば、税理士試験3科目合格と修士課程での2科目免除が資格取得のためにはベターじゃないかなと思います。

 

 

 

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