この記事の目次
はじめに
こんにちは、京都市中京区の税理士、佐藤憲亮です。
先日、Twitterで所得調整控除について、下記のようなことをつぶやきました。
所得調整控除って結構忘れがちなんじゃないかと。例えば夫婦共に給与収入850万円を超え、23歳未満の扶養親族がいる場合、扶養控除は片方しか受けられませんが、所得調整控除は両方で受けられます。夫婦共に扶養親族の欄に子のステータスを入力しないといけないので、意識してないと忘れます。
— さとうの税理士🍚 (@lklkfafa1) March 24, 2021
所得調整控除は、令和2年から適用が開始された新しい制度で、給与所得控除が引き下げられた(一律10万円の引き下げと、上限額が220万円から195万円に引き下げられた)ことにより、急激に税負担が増えてしまう人の給与所得控除を調整しようというものです。
所得調整控除が適用される場合
所得調整控除が適用される場合は、大きく分けると次の2パターンになります。
(1)年収850万円超で、子や障害者がいる場合
(2)給与と年金の両方をもらっている場合
まずは制度の概要をみていきます。
(1)年収850万円超で、子や障害者がいる場合
➀適用対象者
・本人が特別障害者に該当する者
・年齢23歳未満の扶養親族を有する者
・特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する者
②計算方法
・{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額
(2)給与と年金の両方をもらっている場合
➀適用対象者
給与所得の金額と雑所得の金額(公的年金等)の合計額が10万円を超える者
②計算方法
{給与所得の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円=控除額
注意点
(1)のパターンは扶養控除等に必要な情報を収集する時点で、所得調整控除の情報も同時に拾うので、適用を忘れることはないんですが、扶養控除等の適用を受けずに、所得調整控除のみの適用を受けようとする場合は、扶養親族等の情報を別途把握しておく必要があります。
例えば、ご夫婦両方の年収が850万円超で23歳未満の扶養親族がいる場合、片方で扶養控除等+所得調整控除を適用したとしても、もう片方でも所得調整控除を受けられるということです。
所得調整控除は最高15万円の所得控除です。
適用を忘れると所得税と住民税を合わせ、結構な負担増となってしまいます。漏れがないよう注意しましょう。
また、(2)については、Twitterで体験談を投稿いただけましたので、ご紹介します。
「給与所得+公的年金等雑所得」パターンでも所得金額調整控除あるんですが、これ、おそらくかなりの率で見落としがある気が。
— 鈴木まゆ子 税理士・税務ライター (@mayu_suzu8) March 26, 2021
電話相談でこちらが気づいて指摘したことがありました。
あと、
「計算したら控除0円だった!なんでこんなもん作るんだ!」
というクレームも。高齢の女性でした。 https://t.co/J6Bewsl4Vi
こちらのパターンの方が該当者が多そうな気がします。こちらも注意しないとですね。
ただ、計算した結果が控除0というのは、なんでやねんというクレームがきそうですが。
おわりに
私は、令和2年度の確定申告で、(1)のパターンに遭遇しまして、これって結構忘れがちなのでは,,,と思い記事にしてみました。
最近ブログの更新が止まっていましたので、これからは勉強や備忘録のためにもブログを使ってみようと思います。
また、ボチボチと細々とやっていきたいと思います。