この記事の目次
はじめに
こんにちは、税理士の佐藤憲亮です。
確定申告が完了し、これで自由だとホッとしている方も多いと思いますが、「今年の分はまた来年まとめてやろう!」としてしまうと、適用を逃してしまう制度があったりします。
面倒だからと後回しにするのではなく、今からはじめておくと、今年以降の節税になったり、結果として大きな貯蓄ができたりします。
節税策、貯蓄策
その人の状況や、所得構成により、どれをやるべきか、どの順番でやるべきかは大きく変わってきますが、まずはざっくりと、どういったものがあるのかは知っておきましょう。
ここでは、私が思う、今から検討すべき対策を8項目ピックアップしました!
①青色申告
(青色申告特別控除、損失の繰越控除、繰り戻し還付、青色専従者給与、30万円未満の少額資産の一括償却、貸倒引当金の設定)
②減価償却資方法の変更
③ふるさと納税
④小規模企業共済
⑤倒産防止共済
⑥ideco
⑦NISA
⑧法人成り
※ここに法人成りも挙げていますが、節税だけを目的に法人化するのはオススメしていません。法人成りの検討は、総合的な判断が必要です。
支出を伴わない対策
特に、この中でも直接的な支出を伴わない制度(青色申告、減価償却方法の変更)を優先的に検討することをオススメします。
例えば、①の青色申告はその最たる例で、この制度の適用を受けること自体に直接的な支出は伴いません。
ただ、青色申告を選択するには、所定の期限までに税務署へ申請書を提出した上で、記帳が必須となってきます。記帳をするための労力が必要ですし、場合によっては会計ソフトを使ったり、税理士等に依頼したりする必要がありますので、間接的な支出を伴う可能性はあります。
なお、青色申告の適用を受けていると、最大で青色申告特別控除が65万円受けることができますので、その結果として税額が軽減されます。(65万円×税率=軽減された税額)
青色申告にはその他にも、損失の繰越控除、繰り戻し還付、青色専従者給与、30万円未満の少額資産の一括償却、貸倒引当金の設定、などの特典があります。
また、②の減価償却方法の変更も、場合によっては、減価償却費(必要経費)を前取りして、直近の税額を軽減させるのに有効なときがあります。
支出を伴う対策
③~⑦の対策は支出を伴う対策ではありますが、税額控除を受けた上で品物がもらえたり、将来の貯蓄ができたりする制度です。
人は、収入が増えて余裕が出てくると、細かい支出に目がいかなくなり、収入に合わせた贅沢な暮らしをしてしまいがちです。
ですので、将来のことを考えて少しづつでも貯蓄をしていかないと、入ってきたものは全部使ってしまう。ということになりかねません。
それを避けるため、将来に備える支出を強制的にする。というのは、目の前の節税以上に大きなメリットであると思います。強制的な貯蓄は、自分の目の届かないところで自動的にされていくの、気づいたらすごい金額になっていたりします。
ただ、①~⑦の制度は、いつでも解約できないもの、解約の時期によっては元本割れするものもありますので、目の前の生活資金や、緊急時の資金はある程度手元に残しておく必要はあります。
出口のことをも知っておく
上記では入口(掛金支出時)のお話をしましたが、出口(解約金等受取時)のことも検討しておく必要があります。
ここですべてのことをご説明することは難しいですが、例えば小規模企業共済は、解約金の受け取り方を、一時金か年金の選択ができ、それぞれ受け取ることができる金額とその課税方法が異なります。
小規模企業共済のメリットとしてよく挙げられるのは、支出時に全額所得控除になり、受取時に退職所得として受け取れる、といったことです。(退職所得として受取れば、年金として受け取るよりも、税負担は少なくてすみます)
制度によって大きく違いますが、長期間に渡って税負担を軽減できる制度もありますので、検討するときは入口と出口、両方検討しておきましょう。
おわりに
本日は、私が思う有効な節税策と貯蓄策についてご説明しました。
(内容に触れられていないものも結構ありますが、また機会があれば、どこかで記事にまとめたいなとは思っています)
世の中には、節税という言葉をあちこちで見かけますが、蓋を開けて見てみれば、結果的に損をするものも多くあります。
楽して短期的に節税できたり、貯蓄できたりというのは、私は基本的にないと思っていますので、そういった言葉にすぐに飛びつかず、じっくりと腰を据えて計画的に進めていくのが一番ではないかなと考えています。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!