役員報酬の種類、手続き、要件を解説

こんにちは、税理士の佐藤です。

企業では役員報酬や給与体系を明確にし、税務上の要件を満たすことが求められるため、適切な手続きが重要となってきます。

この記事では、役員報酬の手続きに関する情報を中心に、種類や届出手続きの内容、各給与に関する要件について解説していきます。

この記事の目次

役員報酬の種類

役員報酬にはいくつかの種類が存在し、定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与などがあります。

これらの報酬を損金算入するにはそれぞれ条件や制限があるため、税務上の要件について解説していきます。

 

定期同額給与

定期同額給与は、役員に対して一定期間ごとに同額の報酬を支払うことを定めた給与です。

定期同額給与を支給する企業の多くは、株主総会等で役員の報酬が決議されます。

定期同額給与では、役員報酬の支払日が事前に定められているため、企業は経理や税務管理を円滑に運営することができます。

ただし、定期同額給与はその名の通り定期に一定金額で支払われるため、原則業績や役員の評価によって報酬を変動させることはできません。

そのため、業績連動給与や事前確定届出給与が採用されることがあります。

 

事前確定届出給与

事前確定届出給与は、一時払いの役員報酬を損金算入するための制度です。

事前に税務署に届出を行い、役員に対して所定の時期に決められた金額を支払うことを定めることで、損金算入が可能になります。

税法上の規定に従った支給を行わなければ損金算入が認められないため、事前確定届出給与は注意して届出を行う必要があります。

一時払いの報酬が損金算入可能になることで、納税負担額や資金繰りに大きなメリットがあるため、本制度を利用する企業も多くあります。

 

業績連動給与

業績連動給与は、企業の業績や役員の達成度に応じて支給額が変動する給与です。

利益や株価などの指標に基づいて算定され、株式や新株予約権によって支給することも可能となっています。

業績連動給与は役員のモチベーション向上や業績向上につながりますが。

しかし、同族会社にあっては、非同族会社との間に当該法人による完全支配関係がある会社に限られ、また交付時期についても、金銭の場合は指標の数値の確定後1か月以内など税務上のルールが多く処理が煩雑になるため、実務上、採用するケースは少ないです。

役員報酬の届出手続きと期限

役員報酬に関する届出期限は株主総会の決議や臨時改定事由が生じた時期によって異なります。

届出手続きに関しては、期限を過ぎれば受付けされないため、期限に注意しながら準備を進める必要があります。

 

事前確定届出給与の届出手続き

事前確定届出給与の届出手続きは、税務署へ所定の届出書を提出する必要があります。

事前確定届出給与の提出期限は、通常、事前確定届出給与を定めた株主総会等の決議をした日、または職務の執行を開始する日のいずれか早い方から1か月を経過する日、もしくは会計期間開始日から4カ月を経過する日のいずれか早い時期となり、臨時改定事由が発生した場合には、その事由が発生した日から1ヶ月以内に提出が必要です。

また、既に事前確定届出給与を提出している場合に内容を変更する場合も、提出期限や決議の日に基づいて届出が必要となります。

まとめ

役員報酬は、企業の経営において重要な要素であり、適切な取り扱いが求められます。

定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与など、役員報酬の種類ごとに条件や制限が異なるため、各給与の特徴を理解し、税務上の要件を満たす届出手続きが重要となります。

この記事を参考に、企業の役員報酬に関する取り組みを改善し、適切な税務管理と節税効果を実現しましょう。

 

よくある質問

1. 役員報酬の種類ごとに税務上の要件は異なりますか?

はい、役員報酬の種類によって税務上の要件が異なります。

定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与などそれぞれに条件や制限がありますので、企業はそれぞれの要件を遵守する必要があります。

2. 役員報酬の届出には期限がありますか?

役員報酬の届出には期限があります。

臨時改定事由が生じた場合には、その事由が発生した日から1ヶ月以内に提出する必要があります。

また、既に事前確定届出給与を提出している場合に内容を変更する場合も、提出期限や決議の日に基づいて届出が行われます。

3. 役員報酬の取り扱いは企業によって異なることがありますか?

はい、役員報酬の取り扱いは企業によって異なることがあります。

企業の規模や業種、経営戦略などに応じて、役員報酬の種類や給与体系が異なる場合があります。

そのため、各企業は自社の状況に合わせて適切な手続きと届出を実施する必要があります。

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