法人は誰のもの?法人が利益を求める理由を考える。
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はじめに

法人とは、法の下で人としてみなされた集団のことをいいます。

 

これを前提とすると、法人は擬制された存在なので、
法人のもうけは法人自体のものではなく、
法人の所有者である出資者のものになると考えられます。

 

そうすると、法人税は出資者が将来に法人から受け取る配当により生じる、
所得税の前払い的な性格をもっているということもできます。

 

この考えは、法人は法律によって擬制されたものである。
という考え方で、「法人擬制説」と言われています。

 

これに対して、法人は現実に存在しているのだから、
法人のもうけは当然に法人のものであり、
法人税も法人に対して課される税金なので、
出資者に対して課される所得税とは、性格が違うという考え方があり、
これは「法人実在説」と言われています。

 

学説的には、二つの説がありますが、
今日は前者の「法人擬制説」を前提として書いていきたいと思います。

 

節税の意味

法人税の負担を少なくするためには、
法人で費用をたくさん使うことで実現できます。

 

そうすると、法人の利益は減り、同時にキャッシュも減っていきます。
キャッシュが減り資金繰りが苦しくなると、資金調達が必要となり、
金融機関から資金調達をします。

しかし、金融機関は法人の利益にお金を貸してくれますので、
行き過ぎた節税をしていると、資金調達が難しくなってしまいます。

 

必要な節税は当然にすべきですが、
それ以上の節税を望むことは、
自分で自分の首を絞めることになることにもなってしまいます。

 

目的が大事

法人税を課された所得を出資者に配当した場合は、配当に所得税も課されて、
法人税と所得税の二重課税が生じてしまうことになりますが、

法人税は所得税の前払い的な性格を有していますので、
現行の所得税法では、出資者が配当所得控除を受けることで、
二重課税の調整を図っています。

 

このように、出資者(個人)にお金を集約していく過程の中で、
法人税を支払って、所得税も支払う必要があり、
利益から税金を差し引いたお金のみが出資者の手元に残ります。

 

法人が利益を求める理由が、出資者(個人)の手元にお金を残すことだとすると、
必要以上の節税は、法人のキャッシュ残高を減らし、結果的に個人のキャッシュも
減らしてしまうことになり、目的と逆行した行為になってしまします。

 

おわりに

法人を支えているのは、経営者であり、働いている人であり、結局は個人です。

法人税を考える時には、法人のことだけでなく、個人と法人との関係や、
法人の利益をどう処分するのか、その利益を求める理由は何なのかを
考えておく必要があると思います。

 

その他、法人と個人の関係については下記記事でも書いていますので、参照ください。

切っても切り離せないもの。自分の人生で必要なお金を予測する。/TIME-TAX

役員貸付金の利息。同じ税金なら、目的を達成するために納める。/TIME-TAX