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はじめに
税理士試験は毎年8月初旬に実施され、その結果は12月中旬に発表されます。
結果次第で今後の人生が大きく変わるので、合否の発表は待ち遠しくもあり、落ち着かない時期でもあります。
次の科目がある人の多くは、8月の本試験後から12月までの間に次の科目の勉強をはじめているので、合否の発表後は、科目を変更するのか、同じ科目を続けるのか、又は複数科目を同時並行していくのかを決めないといけません。
また、一つの選択肢として大学院に行って、科目の免除を受けるという方法もあります。
科目免除のイメージ
大学院で税理士試験科目の一部免除を受けることを「院免」と呼び、これを批判する人が一定数います。
私も大学院での勉強内容を知るまでは、科目免除に対していいイメージはもっておらず、正規のルートではない科目免除で資格を取得することに批判的な意見をもっていました。
(この考えは、受験期間が長期化するほど強くなっていきます)
ただ、”税理士という資格だけ”で考えた場合、「官報合格」で税理士になるのと、「大学院免除」で税理士になるのとで資格としては違いはないです。
そう考えると「官報合格」と「大学院免除」との違いは、資格取得した後に周りからどう思われたいかの自分自身の問題でしかありません。
(いずれにしても、誰にどう思われているかは分かりませんが・・・)
また、試験勉強をしていない科目について、資格取得後に勉強をしないといけないというのは、どちらでも変わりません。
そうすると、大学院で勉強することが、役に立つのかどうかがポイントとなってきます。
実際、私は税法科目免除を受けられる大学院に通っていますが、勉強内容として、大学院で学んだことは自分のためになることが多いですし、実務に新たな気づきを与えてくれることが多いので、現時点で費用対効果は高いと感じています。
官報合格
税理士試験を5科目合格した時に、合格者として官報に氏名が記載されますので、これを一般的には「官報合格」と言います。
しかし、時期は異なりますが
「大学院免除」を受けた場合でも、官報に氏名が載ります。
税理士試験で5科目合格して「官報合格した」ということをよく見聞きしますが、大学院免除であっても官報に氏名が載りますので、実質的にはどちらも「官報合格」です。
これを正確に区分したとすると、5科目合格は「全科目試験合格」、大学院免除は「一部科目免除合格」になります。
つまり、絶対に官報合格するんだというこだわりを持っていたとしても、大学院免除でもそれは達成できるので、変なこだわりを持っている場合は捨ててしまいましょう。ということです。
ちなみに、官報の公表は、試験合格の場合は12月頃。
免除合格の場合は6月頃となっています。
とりあえず調べてみる
ここまで見て、少しでも興味を持った方は、調べてみてください。
まず、通える範囲の大学院を探します。
次に、その大学院が税法免除に対応しているのかを確認します。
大学院のホームページ上で免除をうたっている大学院なら実績もあると思いますが、たまに大学院のホームページ上で確認できないところもあります。
いずれにしても、一度問い合わせてみることが重要です。(入学してから免除が受けられないと分かったら最悪です。)
大学院に資料請求すれば送ってもらえますし、とりあえず通えそうな場所にある大学院の資料を入手し、わからないことは問い合わせます。(ネットに情報はあまり出ていませんので。)
そして、入試の日程や内容を確認し、春試験(1月後半~2月前半)、又は秋試験(8月後半~9月後半)に間に合うのか検討しましょう。(入試の日程や内容は、大学院のホームページで公開されていることが多いです。)
あと、ちまたでは、大学院のレベルが高いとか低いとか、言われていることを目にすることがあるかもしれませんが(2CHとか)、こういったものはあまり関係ないので、気にしなくていいと思います。
結局、大学院での経験を今後に役立てられるかどうかは自分次第です。
学費の納付時期
学費については、大学院によってばらつきがあり、2年間で120万円~200万円くらいです。
大学院によって、納付時期が違うので確認は必要ですが、全額一括納付ではないので、資金繰り計画を立てれば払える可能性があるのかも検討する必要があります。
学費や奨学金の考え方については、こちらの記事を参考にしてください。
奨学金を借りる
また、奨学金を借りるという手もあります。
奨学金にもいろいろありますが、多くの人は日本学生支援機構に申し込んで借ります。
こちらは大学院に入学した後に、説明会に参加すれば申し込むことができます。私が借りたのは貸与型ですが、条件によっては給付型を受けられることもありますので、要件の確認をしてください。
また、貸与型には一種(無利息)と二種(有利息)があり、それぞれ学力基準や年収基準を満たしていれば受け付けられます。
ただ、年収基準が超えていて、受け付けられないだろうという場合でも、家庭の状況により受け付けられる場合もありますので、大学院の担当の方に相談して、とりあえず申し込んでおくことが重要です。
一種については、貸与型となっていますが、在学中に特に優れた業績があったと認められれば、
全額返還免除や一部返還免除となる場合もありますので、申し込めるのであれば、申し込んでおいたほうがいいでしょう。
これらの奨学金は、在学中には利息は発生せず、卒業半年後から返済がはじまります。毎月の返済額や返済期間は、借入金額によりますので、事前に調べてシュミュレーションしておくといいでしょう。
おわりに
私の実感として、税理士試験の勉強では得られなかった、税法とその周辺法律の関係や、物事の見方、考え方が勉強できますので、法律に関する業務を行うのであれば、大学院に行って損することはないと考えています。
金銭的な事情はそれぞれあると思いますが、お金の問題だけで諦めてしまうのはもったいない。
私は大学院に行くのに奨学金を借りていますし、また大学の時にも奨学金を借りました。返済できないほど借りるのは問題がありますが、きちんとシュミュレーションをしていれば、そうはなりません。興味がある方は、まずは調べることからはじめてみましょう。