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はじめに
こんにちは、税理士の佐藤憲亮です。
個人のお客様と話をしていると、よく聞かれるのが「会社設立」についてです。
特に、こんなご質問をいただくことが多いです。
①会社設立をする一番のメリットはなんですか?
②資本金っていくらにすればいいの?
③法人成り(個人事業を法人化)するタイミングは?
④会社設立にはどれだけ費用がかかるんですか?
⑤法人成りすると節税しやすいって聞くけどホント?
今日は、こちらの項目のうち、①の「会社設立をする一番のメリットってなんですか?」について解説していきたいと思います。
※関連記事については下記を参照ください。
会社を設立するメリット
会社設立をするメリットとして、一番に上げておきたいのは「信用力」です。
信用力は、取引先との継続的な事業上取引をする上で重要になってきますし、金融機関から融資を受けようとする場合にも重要となってきます。
個人事業は、事業主が働けなくなってしまうと廃業せざるをえなくなってしまいますが、会社組織なら、事業主が働けなくなっても代わりに働ける人がいれば、組織として事業活動は継続されていきます。
法律上は、会社(法人)になると、会社自体が法の下に人として認められることとなりますので、会社自体が権利主体の中心となるわけです。(税の世界でも法人に納税義務が課されます)
例えば、個人が契約をする場合は、個人名で契約を締結しますが、法人になれば、法人名で契約ができるようになります。
法人には信用力があるという考え方の前提には、法人は人(自然人)と違って、死亡という概念がないので、半永久的に継続すると捉えられており、また、法人は人と違って感情がないので、利益を追求し、経済合理性のみを考えて存続していくという考え方があります。
これらを知った上で、自分が第三者の取引者だとしたら、個人と法人どちらと取引したいかと考えると、当然「法人の方が安心!」ってなりますよね?
また、法人は必ず商業登記が必要となりますので、「法人としてちゃんと事業をやっている」という公的証明ができるというのも、第三者からしたら安心感ありますよね?
この登記された登記簿謄本には、法人名、所在地、資本金額、事業目的なんかも載っていて、法務局で請求すれば誰でも取得が可能です。
こうやって、会社の情報を公表しているというのも、信用力につながっています。
その他のメリット
・決算月を自由に設定できる
個人の事業年度は1月~12月と決まっていますが、法人は4月~3月など、決算月を自由に決めることができる。これにより、事業での繁忙期と決算での繁忙期をずらすことができます。
・事業承継
事業承継を考えている場合は、法人だと株式を移転させるだけなので、場合によっては税負担の軽減になったり、手続関係が楽になったりします。
・節税策が取りやすい
役員報酬を自分で設定できるので、個人と法人の所得バランスが取りやすくなったり、法人は経済合理性を持ってのみ活動するという前提があるので、費用となる範囲が個人と比べると広くなります。また、場合によっては消費税の免税期間をとることができます。
会社設立のデメリット
メリットを述べたら、デメリットも述べないのいけないので挙げておきます。
・社会保険への強制加入
法人になると社長1人であっても、社会保険へ加入しないといけません。もちろん従業員を雇用して加入要件を満たせば、従業員も加入する必要がありますし、通常、その社会保険料は会社と従業員で折半して負担することとなりますので、会社負担分の支出が増えることとなります。
※ただ、支出は増えるといっても、社会保険に加入できると従業員の安心感は増しますので、長期的に見ると人の定着率が高くなります。
・利益が出なくても均等割の負担がある
決算が赤字となっても、都道府県と市町村へ、資本金額や従業員数に見合った納税をしないといけなくなります。会社の規模が小さければ負担額も小さくなりますが、こちらの負担は避けられません。
・日々の会計や税務申告に手間や費用がかかる
法人は法人税法にも続いて税務申告を行うこととなりますので、日々の会計もそれに合わせて行っていくこととなります。法人税の申告は、所得税の確定申告よりも格段と専門性が増しますので、自力で申告することはほぼ不可能です(私の経験上、自力で申告されている方は間違いが多い印象です)。ですので、損をしないためにも税理士への依頼は必須となってきます。
おわりに
本日は、会社設立のメリットとデメリットについて解説してきました。
会社設立をする目的はいろいろあると思いますが、会社設立を選択するには、一つのメリットだけを見るのではなく総合的な判断が必要となってきます。
会社設立を検討されている方は、税理士などの専門家に相談されることをオススメします。